ゴールデンボンバー『ノーミュージック・ノーウエポン』

◆今更なのだがとても名盤であったので語りたいと思う。

01.ブッコロ
02.SHINE
03.欲望の歌
04.ローラの傷だらけ
05.愛を止めないで 〜I Love Me Don't Stop〜
06.101回目の呪い
07.片想いでいい
08.おはよ
09.Please!×3
10.死 ん だ 妻 に 似 て い る
11.好きだけじゃ足りなくて
12.世界平和
13.さよなら、さよなら、さよなら


マトモにアルバムを聴いたのは実は初めてだったのだが、「元カレ殺ス」や「†ザ・V系っぽい曲†」に見られるようなヴィジュアル系をネタにヴィジュアル系を再生産する諧謔は常々素晴らしいと思っていたし、もともと金爆にネガティブな印象はなかった。ただそんなことは正統派Vスキーさんがとっくに分析していらっしゃるであろうし、僕なんぞが今さらというアレだった。しかしこんな怪作を前にしてしまっては綴らざるを得ない。これはJ-POPスレスレに高品質なV-ROCKの皮を被った、vo-karu鬼龍院翔のセルフデストラクションブルースである、と。

無駄に豪華なオーケストレーション曲の#1に導かれ、ペンも剣も放たれる武装開戦疾走V曲#2。いやあ滾るな。普通にV系っぽいな。ブッコロ! シャイン! あいやシネ! シリアスながらどこか笑えてしまうユーモア、それは今回俺が最大の目的としていた#3「欲望の歌」で既に絶頂に達する。90後半'sV系あるあるを全部載せした名PVに負けぬ堂に入ったV歌唱で己の不具を高らかに叫ぶ荘厳なクラシカルメタルにはそのコンセプトの徹底振りに噴かざるを得ない。しかしVポップの紋切りのようなシングル#4「ローラの傷だらけ」もユーモアという意味では負けていない。かつてマシンガンズがJ-ROCKシーンで切り拓いた可能性を脈々と受け継いているとは言えまいか。シンセアレンジが非常にひと世代前トランシーなポップス#5は女々しくて的な観点で聴くとコンポーザーとしての才能の業を感じて辛いし、#6「101回目の呪い」なども本当に普通のいい曲だし。身代わりキリーさん、イケメンです。

全然片想いでよくない#7や社会の歯車の朝を歌う#8はそれこそGacktソロ(のライトサイド)のような爽やかなサウンドに反した怨念リリックに舌を巻く。とにかく目紛しい。V-ROCKが根底にあるとはいえなんか本当に目紛しい。常々ゴールデンボンバーのサウンドには(ガチな歌広さんが居るとはいえ)他にブレーンがいるのではないかと勘繰っているのだが、そうでないとしたら鬼龍院翔という人はきっと真摯な音楽好きなのであろうなどと。ていうか多分後者。#11の曲間にサックスソロというセンスは明らかに90年代ビーインガーしか持ち得ぬセンス。ああだからあのソロアルバム。得心。

閑話休題。#9、「Please!×3」…ここにきてとうとうザ・スミスである!!(違います) 自虐の王モリッシーばりにプリーズプリーズするネガティVの王子キリッシー、しかし彼の抱える暗黒の前には上辺1ミリの綺麗さすら手に入らず、不条理狂騒のネクロマンスソング#10からの落ちっぷりが凄い。好きな人の関心すら引けないのはどう考えても俺が悪い!死にたい!! という日陰者の初期装備ネガに帰結する人生。濁流のような音楽のF.O.をバックに、何もかもが消えて行く人生。ああ素晴らしく重い暗い。だがそれ故に美しい。笑えない自虐に愛が止まらない。

なんというかもっと基本は笑えるエンターテイメントに徹する…ネガはネガでもリア充から見た非リアのカリカチュアで世間にウケている方々なのだと思っていたが考えを改めた。祈りと同位の誤魔化し。治らない個性を開き直るからこそ、路が拓けることもある。再生を終え再生する彼の呪いは僕の、ぼくらの救いだ。だから僕はペンを持った。 シネ! あいやシャイン! 名作とキリショーに光あれ!

筋肉少女帯『Future!』

◆あなたの声で聴きたくなかったはずの言葉だから、より刺さるのかなあ。雑感。

01. オーケントレイン
02. ディオネア・フューチャー
03. 人から箱男
04. サイコキラーズ・ラブ
05. ハニートラップの恋
06. 3歳の花嫁
07. エニグマ
08. 告白
09. 奇術師
10. わけあり物件
11. T2(タチムカウver.2)


#1「オーケントレイン」。かつて僕らを死人の惑星やら精神破壊の謎レールやらとろくでもない場所に運んできたシグネチャー列車の今回の行く先はなんと未来。なんと曖昧。なんとありきたり。しかしなんと心強い。珍しく(?)非メタルにカッチリ作り込まれた音像の疾走ロック#2、艮関連の兄弟曲的な味わいの#3ときて#4「サイコキラーズ・ラブ」−−筋少(のボニクラ系)ソングとしては収まりの良過ぎて逆に物足りない気すらする普通に名曲、というよりはいい曲が。そんなある意味"筋少の作品"という定位をズラされながら流れてくるのは筋少の良心・ウッチーのGS、#5「ハニートラップの恋」。安心する。前作の「枕投げ営業」といい「時は来た」といい、ホント毎回安心する。そしていかにもおいちゃんっぽい爽やかHR#6「3歳の花嫁」。死にゆく父が娘と結婚式、というトンデモ展開に噴く間も無くざっくり説明の省かれた小さな幸せにウムムと唸るしかない描写も流石ならばフラッシュにも噴いた。俺もイツァビュリホデー使うか割と直前まで迷った。懊悩。アーアー。これが生きるということか。

閑話休題。足元の気になるPV#7から今回個人的に最大の名曲、#8「告白」。今更彼から聞かなくともダメなファン故に知り尽くしている彼の人生観の独白の、しかし意外な結末が胸にキた。純ちゃんみたいなウッチーナゴムテクノの聴き処はあるけれど、これは僕の妄想より是非"普通"に歌詞を聴いてほしい。そう言えば今まで無かった気がするフーミン主体のインスト#9、やはりフーミンのクラシカルメタルコア(?)に乗せたザ・筋少的ペーソスが痛々しくも優しい#10「わけあり物件」。今回それぞれのコンポーザーの個性が濃くも幅広く発揮されており、20年振りの完全新作とはいえサウンド的には意外と紋切の筋少らしくない作品故、意外と初心者さんにもよかったりしないだろうかとは思ったが。しかしラストが初見殺しの#11「T2」。その20イヤーズも前、今ほど"筋少的"なモノが世間に受け容れられていなかった時代(だったからこそ)僕らの心をあんなにも抉った名曲の2とは。しかも「出る前に負けることを考えないテーマ曲」、とは。

インタビューにもあるがとてもポジティヴなバイブスの中で創られた作品のようで、それはそれで勿論素晴らしいのだがその光芒が眩し過ぎるきらいが。確かに今ようやく世間から評価され神となった貴方方だからこそ歌えるタチムカッタ後のバトルヒムズなのかもしれないけれども、そこは神と違って永久にわけありの僕らにとってそれは容易にガチレクイエムにもなり得る。未来はありますか。普通は探しに行けますか。一人一殺できますか。虫ですら殺しかねて自らを殺めかねない、そんな普通にすらなれない僕らでも。

ああ、だがしかし。ハエトリグサは別に虫を食わずとも生きていけるらしい。棘の中で包まれて育つ代替の未来がきっと僕らにも。未来が駄目なら来世でも。異議無し。

人間椅子『怪談 そして死とエロス』

◆このアルバムのおかげで”火宅”と”獄卒”という言葉を知った。日本語って美しい。


◆泥の雨ってnjslyrEDだったのかワジー=サン。最近スピ系のアレによく言及してらっさるから純粋なる音楽ファンは少し不安よ。いやまぁ今更だしいいけど。ロックなぞハナからパンピーにゃセミナーのようなものだ。人間蒸発。


◆閑話休題。そんなワケで(?)椅子23th新譜雑感。チャートアクションは過去最高の前作を塗替る最高位22。おめでとうございます。

01. 恐怖の大王
02. 芳一受難
03. 菊花の数え唄
04. 狼の黄昏
05. 眠り男
06. 黄泉がえりの街
07. 雪女
08. 三途の川
09. 泥の雨
10. 超能力があったなら
11. 地獄の球宴
12. マダム・エドワルダ


よいのである。三途とか芳一とか雪女とか今まで無かったかねそういや、という気もする程にリリック的な意味では彼らのパブリックイメージらしからぬ”分かりやすい"アルバムであるとは思う。まぁそれは無論面白くないと同義ではないのだが。オーケン関連の作品にもなんか最近似たようなことばっか言ってるね俺。閑話休題。サウンド的な意味では近作はどれも美味しい作品ばかりだったが、今作も例に漏れぬヘドバン必至のHR/HMアルバム。ホイチェー! フリスビー!! 生欠伸!!! (空耳

まぁそもそものアルバムタイトルの現す(表面的な)”分かりやすさ”こそが昨今の再評価の一因であろう。死を思うからこそエロス(生)が輝くのだ。メメントモリモリ。名盤です。

特撮『ウインカー』

◆アライダメル・ザ・フューチャー・ライジング


◆世界のなんとかのスリップノット役の中の人が特撮好きらしく少し和んだ。それに加え少し前の記事だが。
V系バンドマンたちが“オーケン”をアツく語る! 「大槻ケンヂ リスペクト座談会」 - ウレぴあ総研
団長よりコアな人が居るとはね。超良記事。誰得俺得。閑話休題。そんなわけで(?)特撮の約三年振りにして十五周年の新譜9th雑感。

01. 荒井田メルの上昇
02. 音の中へ
03. 愛のプリズン(特撮ver.)
04. アリス
05. シネマタイズ(映画化)
06. 富津へ
07. 中古車ディーラー
08. ハンマーはトントン
09. 人間蒸発
10. 7人の妖
11. 旅の理由
12. ハザード


よいのである。ストレートエッジなハードコアからいつものヘヴィロック展開がクールな#3。リデルかと思いきや(それもあるけど)まさかのローリンサンダーの方だった#4。今はもう誰も。SM作家バリに死体を運ぶノーブレーキ・ノーフューチャーなボニクラ気味の車屋さんカッポーがまさしくシネマタイズな#7。いい曲ばかりだ。しかしナッキー(だよな)のピッチシフティなデスヴォイスが映える上にオーケンのなんか高円寺心中くさいがそれはそれで語りが燃えるイカす特撮流デッスンロールの#9が個人的にはベストキラー。あとある意味タイトル曲#11。ウインカーを逆に点け辿り着いたホームタウンにはアナザーミーが、というサイコソング。こっちはうまくやってるよ、という最早手癖のフレーズの所為でぱっと見では普通にいい曲かと思いきや本当は怖い良曲。車に乗るようになったオーケンの目が創作にふんだんに生かされた良盤である。

相変わらずナターリ様のインタヴューが面白いというか知らない人が見たらアーリーのVoみたいな立ち位置。新しいロゴ、デッケネみたいですよね。そんなオレ、ショー、33歳、独身。とうとう同い年かい。ホントかい。ツライなぁ。

筋肉少女帯『おまけのいちにち(闘いの日々)』

◆安定の17th、キタ。雑感。

01.大都会のテーマ(TVサイズ)
02.レジテロの夢
03.混ぜるな危険
04.球体関節人形の夜
05.枕投げ営業
06.LIVE HOUSE
07.別の星の物語り
08.私だけの十字架
09.大都会のテーマ
10.時は来た
11.おわかりいただけただろうか
12.S5040
13.夕焼け原風景


「レジテロの夢」からブッ飛ばします。抵抗も暴力も最初は全て同じ良い夢と歌う不条理リリックが安定の不安定さを誇る変拍子スラッシュバラード…もうなんというか…筋少節としか。オーケンの中では実は昭和アニソンのイメージらしい先行名曲#3を挟み「球体関節人形の夜」も爆殺少女くさくてよいメロディックスピードフーミンですね。そして最近の良い意味での筋少の明快(明解?)さが見事に結実した「枕投げ営業」が個人的にはこの作品のハイライト。なんか久々にアジMCを聴いた気がする「時は来た」にしろ、ウッチーの曲はオーソドックスだがいつもどこか剽軽さを覚える。涙が出そうで笑えるコミカルさ満載のルサンチマン、いいね! マクーラ!!

おいちゃんヴォイスオンリーVerはさぞハマるであろうGSナンバー「LIVE HOUSE」も爽やかなら「別の星の物語り」(俺の特典CDこれでした)も楽器だけなら絶対筋少(そしてフーミン曲)とは思えぬサレオツさでバラエテーに富んだ中盤。しかし「私だけの十字架」…コレ絶対砂の十字架だろライリー。前作の愛の讃歌といいなんか最近そういうモードなのかなオーケン。そんな邪推を打ち消す今作俺の中でのフーミンの枕、再結成後のトリフィドを超える開放感で迫る「おわかりいただけただろうか」。ああ、これですよ。やっぱこれですよ。流石、王を消す城の撃墜王。いや築城王。「大都会のテーマ」といいアシッドな「S5040」といいSって昭和って意味かなぁいやそんな安易な…などと思ったら大体あってたナターリのインタヴューが大体ネタバレで面白いです。来年で全員五十路とか!! 嘘ォォォォ!!

だがしかし。だから今なのだ。今だけを切り取るのだ。オーケンによる”猫"という筋少重要語句がきっと集いし者それぞれの黒くも燃える原風景を想起させずにはおかぬであろう感動的なオーラス「夕焼け原風景」で、やはり僕のようなファンは安易にもこのバンドへの愛を想いをより強くするのだ。こんな風に語ることなどなくなった付随の一日。こんな事は人生に関係ないと労働者が切捨つ一日。僕らがきっと死ぬまで囚われる、過ぎ去りし一日。

実は、やさしい目をしている。とこしえにまやかす体で、見送る目をしている。名盤。おわかりいただけただろうか。(CV:立木冬彦